「遺族厚生年金」を受給中の母。将来、「老齢厚生年金」ももらえれば「高齢者施設」に入りたいといっています。本当に両方もらえるのでしょうか?
公的年金では、支給事由が異なる2つ以上の年金を受けられるときは、いずれか1つの年金を選択しなければなりません。しかし、65歳以上の人には例外があります。この記事では、遺族厚生年金と老齢厚生年金の両方をもらうことができるのか解説します。

▼年金「月15万円」を受け取っていた夫が死亡。妻は「遺族年金」をいくら受け取れる?

1人1年金の原則とは

公的年金では、支給事由(老齢、障害、遺族)が異なる2つ以上の年金を受けられるときは、原則、いずれか1つの年金を選択しなければなりません(1人1年金の原則)。このとき「年金受給選択申出書」の提出が必要です。
 
たとえば、今まで遺族厚生年金を受けていた方が、62歳になって特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになったときは、遺族給付と老齢給付のいずれか1つを選択することになります。
 
「遺族基礎年金と遺族厚生年金」のように支給事由が同じであれば、あわせて受け取れます。ただし、同じ支給事由であっても2つ以上の基礎年金や厚生年金を受け取れるときは、いずれか1つの年金を選択します。
 
今まで夫が亡くなったことにより遺族厚生年金を受けていた妻が、子の死亡によって新しく遺族厚生年金を受けられるようになった際は、いずれか1つの年金を選択します。しかし、65歳以後は、特例的に支給事由が異なる2つ以上の年金を受けられる場合があります。
 

65歳以降、老齢厚生年金と遺族厚生年金を受け取れる場合

夫が亡くなり、妻が65歳から老齢厚生年金と遺族厚生年金を受ける権利がある場合、A「遺族厚生年金(夫の老齢厚生年金の4分の3)」とB「妻の老齢厚生年金の2分の1(夫の老齢厚生年金の2分の1)+遺族厚生年金の3分の2」を比較して、いずれか高い年金額を受け取ります。
 
受け取る年金額が決まったら、まず、妻の老齢厚生年金の受給(全額)が優先されます。次にAまたはBで算出した年金額が、妻の老齢厚生年金よりも高い場合、その差額分を遺族厚生年金として受けられます。
 
逆に遺族厚生年金より老齢厚生年金の年金額が高い場合は、遺族厚生年金は全額支給停止になってしまいます。なお、遺族年金は非課税、老齢年金は雑所得として課税の対象です。
 

 

まとめ