父親が「新聞」を契約していたことを亡くなってから知りました。まだ解約していないのですが、これは娘の私が払わないといけないのでしょうか?
新聞の購読契約をしていた場合には、原則として一方的に解約はできません。本記事では、契約者である父親が亡くなった場合に、新聞の購読契約をどのように対応したらよいのか解説します。

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父親が亡くなった時点で購読契約は無効にならないのか?

新聞購読をすることは、「契約」行為に該当します。契約とはどのようなものかを確認し、その契約を解約できるケースについて解説します。
 

1.「契約」とは?

法務省の高校生向け法教育教材「未来を切り拓く法教育~自由で公正な社会のために~」によれば、「契約とは、当事者双方の意思表示(考えを表すこと)が合致することで成立する約束のこと。例えば、『この本を1000円で売る』『この本を1000円で買う』という売手と買手の意思表示が合致することで売買契約が成立します」とあります。
 
新聞購読も、生存中に父と新聞販売店との間で、意思表示が合致して購読を申し込んだものですので、「契約」となります。
 

2.契約した人が亡くなったら、その契約はどうなるのか?

契約が成立している場合に、その契約者が亡くなった場合には、相続人にその契約内容の権利と義務が引き継がれます。したがって、父親の遺産を相続する人が、契約を引き継ぐため、新聞代を支払う必要があります。契約を引き継ぐ人が、母親や兄弟姉妹など複数いる場合には、だれが契約を引き継ぐのかを相続する人たちで話し合う必要があります。
 

3.どんなときに新聞購読を解約できるのか?

日本新聞協会販売委員会および新聞公正取引協議会などが作成した、「新聞購読契約に関するガイドライン」では、新聞の途中解約に関する指針が明示されています。
 
次の3項目に該当する場合には、解約できるとしています。
 
(1)ルールに基づく解約申し出である場合
「契約書面を受け取った日から8日以内」であればクーリングオフ期間なので、一方的に解約ができます。父親が契約した新聞購読が、クーリングオフ期間中であれば、契約を解約すれば新聞代を支払う必要はありません。
 
(2)不適切な契約が行われていた場合
父親が契約した際に、下記のようなことが証明できれば、契約を解除できます。その場合も、(1)同様に新聞代を支払う必要はありません。