
▼住宅ローンは「繰上げ返済」すべき? メリットについて解説
Aさん一家のボーナス事情
Aさんは43歳の会社員、家族は妻と小学生の子が2人います。36歳のときに変動金利の住宅ローンを借りて、マンションを購入しました。返済期間は35年なので、繰り上げ返済をしなければ71歳まで返済が続く見込みです。
Aさんは、これから金利が上がりそうだとニュースなどで聞いて知っていました。しかし、自分が借りている変動金利はまだ上がっていないし、住宅ローン控除をあと3年受けられるので、繰り上げ返済は住宅ローン控除が受けられなくなったあとで考えればよいと思っていたそうです。
また、今年の冬のボーナスは去年より金額アップしそうなので、この機会に思い切ってほしいものを買ったり家族で旅行に行ったりしようと、プランを考えていました。しかし妻は、これから子どもたちの教育費が増えるだろうし、金利が上がって返済額が増えたら困るから、「繰り上げ返済しておこう」と言います。
金利が上がると住宅ローン返済はどうなる?
住宅ローンの金利が上がったら、返済中の人にはどのような影響があるのか確認しましょう。
変動金利住宅ローンの金利が上がると、変動金利で返済中の住宅ローンも金利が見直されます。ただ、金利の見直しは年2回(4月と10月)ですが、返済額の見直しは5年ごとというルールがあるので、毎回の返済額がすぐに上がるとはかぎりません。
しかし、ここで注意が必要です。金利が上がっても次回の見直しまで返済額は変わりませんが、ローンの元金返済に充てられる金額が変わります。金利が上がれば利息額が増えるので、返済に充てられる金額が減ってしまうのです(図表1)。
図表1
返済額が見直される際にも、毎回の返済額が増える場合は1.25倍までというルールがあります。したがって、さらに金利が上昇していった場合には、返済額が増えても元金返済に充てられる金額が減って、予定どおりに返済が進まない可能性も考えられるのです。
元金の返済が思うように進まない場合、5年ごとに返済額が1.25倍に増額されていったり、ローンを返し終わるはずの時期になっても借入額が残っていたりする事態も想定されます。
そのようなリスクを避けるために、金利上昇時の繰り上げ返済は有効な手段です。繰り上げ返済された金額は、利息を払うことなく100%が元金返済に充てられます。「元金×金利=利息額」ですから、金利が上がっても利息額を増やさないためには、元金を減らせばよいというのがセオリーです。