パートとして厚生年金の被保険者となって、60歳以降も働くと、年金に上乗せがあるって本当ですか?
2024年10月から社会保険の適用範囲が拡大され、多くのパートタイマーが厚生年金の被保険者となり、保険料が徴収されるようになりました。   パートタイマーに社会保険が適用されると65歳から老齢厚生年金が支給されますが、その額は主として被保険者期間の報酬額、および被保険者期間から算出される報酬比例部分により決まります。また、経過的加算も上乗せされます。   今回は、60歳以降も厚生年金の被保険者としてパートタイマーなどの形で働く際に、報酬比例部分に上乗せされる「経過的加算」の額が大きくなることについて、詳しく解説します。

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老齢厚生年金の仕組み

 

1. 老齢厚生年金の受給要件

老齢基礎年金を受け取ることができる方に、厚生年金の加入期間がある場合、65歳からは老齢基礎年金に加え、老齢厚生年金を受け取ることができます(※1)。
 

2. 老齢厚生年金の受給額

老齢厚生年金は「報酬比例部分」、「経過的加算」および加給年金額を合計した金額となります。
 
老齢厚生年金の額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額
 

(1)報酬比例部分

報酬比例部分は、老齢厚生年金額の計算の基礎となるもので、厚生年金の被保険者期間と、被保険者であった間の報酬額などを基に、以下の式で概算することができます。
 
報酬比例部分=被保険者期間の平均年収×5.481/1000×被保険者であった年数
(※2を基に筆者作成)
 
したがって、パートタイマーとして働いて得る報酬が高く、かつ働く年数が多いほど、報酬比例部分の額は大きくなります。なお、平成15年3月以前の加入期間における計算式は異なります。
 

(2)加給年金額

加給年金額は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が65歳到達時点で、その方に生計を維持されている配偶者または子がいるときに、図表1の額が加算されるものです(※3)。
 
図表1

対象者 加給年金額 年齢制限
配偶者 40万8100円
特別加算額を含む
65歳未満
1人目・2人目の子 各23万4800円 18歳到達年度の末日までの間の子
または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子
3人目以降の子 各7万8300円