来月の送別会でコインマジックをする予定です。「本物の硬貨」に細工を施したいのですが、マジック以外には使わないし問題ないですよね?
送別会や歓迎会などで、出し物を企画している方もいるでしょう。マジックは、こうした場面で披露される定番の余興のひとつです。しかし、コインマジックをする場合、使用しているコインは法律上問題がないのか知っておく必要があります。   今回は、本物の硬貨をマジックのために加工してもよいのかについて、ご紹介します。

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硬貨をマジックのために自分で加工しても問題ない?

日本では本物の硬貨に対して、勝手に加工を施すことは認められていません。貨幣損傷等取締法の第1項では「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない」と定められているためです。
 
硬貨の加工は損傷行為に該当する可能性があるため、法律違反とみなされる場合があります。もし法律違反と判断されると、罰則が科される可能性も少なくありません。貨幣損傷等取締法の第3項では、貨幣を損傷や鋳つぶしたり、もしくはそのために貨幣を集めたりした場合は、「一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する」と示されています。
 
例えば、100円玉を加工したことで、20万円の罰金刑に処されたとすると、19万9900円多い負担が生じるでしょう。懲役刑になると、時間的拘束にもなります。
 
硬貨を加工してできるようなコインマジックは、元から手品用で販売されているものを使用した方がよいでしょう。
 

紙幣の加工は問題ない可能性もある

貨幣損傷等取締法で罰則が規定されている対象は貨幣のみです。独立行政法人造幣局によると、硬貨は「貨幣」、紙幣を「日本銀行が発行する銀行券」としています。つまり、紙幣は貨幣に含まれません。
 
貨幣損傷等取締法では紙幣に対する罰則は記載されていないため、例えばマジックのために紙幣を燃やしたり、文字を書いたりしても違法にはならない可能性があるでしょう。
 
独立行政法人国立印刷局でも、「お札を折り紙として使ったり落書きをしたりすると、何か問題になるのでしょうか?」という問いに対して、「法令上、直ちに違法な行為とは言い切れません」と示しています。
 
ただし、お札に加工をすると自動販売機やATMなどの機械で使えなくなったり、偽札との見分けがつきにくくなったりする可能性も少なくありません。トラブルにつながる可能性もあるため、できるだけ加工は避けた方がよいでしょう。
 
さらに、練習用にと紙幣をコピーすると、偽札を作っているとみなされるケースがあるため、やめましょう。刑法第148条によると、偽札を作ったり使用したりした場合は無期または3年以上の懲役が科されます。
 

硬貨をマジックに使っても問題ないケースとは