夫婦の別居などで話に上がる「婚姻費用」。具体的にはどこからどこまでが含まれているの?
夫婦が婚姻中に別居する場合、法律に基づいて生活費を婚姻費用として分担する義務があります。では、婚姻費用には何が含まれていて、どのように決定するのでしょうか?   今回は、夫婦が別居した場合に請求できる婚姻費用について解説します。

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婚姻費用に含まれるもの

婚姻費用とは、法律上の夫婦関係は続いているものの、別居する場合に必要な費用のことです。内訳には、以下の費用が含まれます。

● 生活費(食費・光熱費)
● 住居費
● 医療費
● 子どもの養育費
● 教育費
● 保険料 など

ただし、娯楽費や浪費的な支出について、各個人の状況によって異なりますが、過剰な買い物や無駄遣いはおおむね対象外です。
 
婚姻費用が請求できるメリットは、別居による生活水準の著しい低下を防ぎ、子どもの養育費を夫婦で分担できることなどがあげられます。別居中は、子どもと同居中の親に対して、児童手当が支給されます。
 
なお、離婚を前提とした別居の場合は、財産分与、年金の分割などの話し合いが必要です。また、子どもがいる場合は、親権者を決めること、養育費や子どもとの交流方法、児童扶養手当の手続きなどについて確認しましょう。
 

婚姻費用の金額

婚姻費用の金額は、基本的には夫婦の話し合いで決まります。もし金額の相場が分からない場合は、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」をもとに判断しましょう。
 
算定表は、子どもの人数と年齢、義務者と権利者の働き方と年収によって確認できます。表の見方は次の通りです。

● 表の縦軸:婚姻費用を支払う人(義務者)の年収
● 表の横軸:婚姻費用を受け取る人(権利者)の年収
● 義務者と権利者の働き方:自営または給与所得
● 自営の場合:確定申告書の「課税される所得金額」が基準
● 給与の場合:「源泉徴収票」の「支払総額」が基準