iDeCoの「改悪」が騒がれてるけど、「退職金を60歳・iDeCoを70歳」で一括受給すれば、新たな「10年ルール」の影響を受けず、これまで通りの税制優遇を受けられますか? 注意点を解説
2025年度の税制改正で、iDeCoと退職金の受け取り時期の間隔をめぐる「5年ルール」が「10年ルール」へ変更される予定です。   この影響により、iDeCoと退職金の受け取り時期をどう設定するかが、今後の重要なポイントとなるでしょう。さらに、退職金を先に、iDeCoを後から受け取る場合には「20年ルール」が適用される可能性があることをご存じでしょうか?   本記事では、iDeCoが「改悪」と言われる背景と、退職金を先に受け取る際に注意すべきポイントについて解説します。

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iDeCoの5年ルールとは? なぜ「改悪」?

現在、退職金とiDeCoの一時金を受け取る時期が5年以内に重なると、受けられる退職所得控除の額が減少する仕組みがあります。
 
この制度は「5年ルール」と呼ばれていますが、2025年度の税制改正では、この期間が10年に延長される予定です。
 
その結果、退職金とiDeCoの受け取り時期を10年以上離さなければならなくなり、この変更が「iDeCo改悪」と言われる理由となっています。特に、退職の5年後にiDeCoの一時金を受け取ろうと考えていた人にとっては、不利な変更と感じられるかもしれません。
 

退職金を先に受け取ると「20年ルール」になる

退職金を60歳で受け取り、70歳になってからiDeCoを受け取るという計画は一見合理的に思えるかもしれませんが、「20年ルール」による注意点があります。
 
例えば、60歳で退職金を、70歳でiDeCoをそれぞれ受け取る場合、受け取り時期が10年空いているため「10年ルール」が適用され、退職所得控除をそれぞれ独立して受けられるように感じます。
 
しかし実際には、「iDeCo受け取りの前年から19年以内に受け取った退職金」の退職所得控除が適用された場合、iDeCo受け取りの際に適用される退職所得控除は、退職金受け取り時の控除額を除いた分のみとなります。
 
では、退職金とiDeCoの双方で退職所得控除を満額活用できる方法を考えてみましょう。iDeCoの受給開始時期は60歳から75歳までの間で選択可能であるため、55歳で退職金を受け取り、75歳でiDeCoを受け取れば、55歳時点と75歳時点の両方で満額の退職所得控除が適用されます。
 
ただし、早期退職が可能かどうかは、企業やそのときの個人の状況によっても異なります。iDeCoの一時金が75歳まで受け取れないことで、老後の生活に影響が出る可能性もあるでしょう。
 

iDeCoのルール変更、いつ起こるかわからないからこそ備えよう