昨年の医療費が合計「100万円」に…“高額療養費制度”と“医療費控除”はどちらを使えばお得でしょうか?
多額の医療費を支払ったときに利用できる制度が、「高額療養費制度」「医療費控除」です。どちらも実際に支出した医療費に応じて経済的負担を軽くできる制度ですが、条件や適用される期間などが異なります。   今回は、高額療養費制度と医療費控除を併用できるのか、またそれぞれの違いなどについてご紹介します。制度を利用するか悩んでいる方は、参考にしてください。

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高額療養費制度と医療費控除は併用できる

高額療養費制度と医療費控除は、それぞれの条件を満たしていれば併用できます。ただし、医療費控除に合算できるのは高額療養費制度で還付された金額を除いた医療費です。
 
まずは、それぞれの制度の違いを解説します。
 

高額療養費制度の内容

高額療養費制度は、病院や薬局などで負担した医療費が1ヶ月(その月の1日から月末まで)で上限額を超えていると、超えた金額分を払い戻してもらえる制度です。上限額は年齢や所得に応じて変動します。
 
厚生労働省によると、例えば、年収が約370万~770万円で69歳以下の方だと、上限額は「8万100円+(医療費-26万7000円)×1%」で求められます。
 
ただし、入院中の食事代や差額ベッド代などは計算に含みません。
 
なお、1ヶ月で複数回受診した場合の医療費も合計できます。申請するときは、自身が加入している健康保険組合や全国健康保険協会を始めとする公的医療保険に支給申請書を提出しましょう。
 

医療費控除の内容

医療費控除は、1年の医療費が一定金額を超えていれば、最大200万円まで所得控除を受けられるものです。国税庁によれば、以下の条件に該当していると控除が適用されます。
 

・納税する本人が、本人や生計を一にする配偶者、その他の親族のために支出した医療費
・その年の1月1日~12月31日までの間に実際に支払った医療費