70歳の両親が「相続税対策」として、実家の土地を「兄名義」に変更! でも両親が“固定資産税”を払い続けると、税務署から指摘される!?「みんなやってる」なら問題ないの? 注意点を解説
親が高齢になると、相続について家族で話し合う機会が増えます。相続税対策として生前に財産を子や孫に移したいと考える人もいるでしょう。土地や建物の名義を配偶者や子に変更するのもその1つです。   しかし、「土地の名義は兄に変更したのに、固定資産税は両親が払う」といったケースでは思わぬ落とし穴があるかもしれません。本記事ではこのようなケースの注意点について解説します。

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固定資産税の納税義務は、土地の名義人にある

固定資産税は、毎年1月1日時点での土地や建物の所有者に課される税金です。土地の名義を兄に変更した場合、翌年以降は1月1日時点での所有者は兄となるため、固定資産税の納税義務は両親から兄に移ります。
 
にもかかわらず両親が固定資産税を払い続けていると、税務署から「実質的な所有者は両親である」と判断される可能性があります。その結果、名義変更が無効になるだけでなく、税務調査を受けるなど、さまざまなリスクが生じる可能性があります。
 
とはいえ、兄に実家の土地の固定資産税を支払う経済的な余裕がないこともあるでしょう。その場合は、固定資産税分の現金を両親から兄に生前贈与したうえで、兄が自分名義の土地の固定資産税を納める方法を検討してみましょう。
 

年間110万円までは非課税で生前贈与できる

相続税対策としてよく知られている制度が、生前贈与の非課税枠です。贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、実家の土地の固定資産税が年間110万円以内であれば、固定資産税と同額を両親から兄に生前贈与として渡すことが可能です。
 
この方法であれば、実質的には自己負担をすることなく、土地の名義人である兄自身が固定資産税を支払うことができます。
 

名義変更に伴う贈与税にも注意が必要