ドクターヘリ内の「医療行為」は患者負担になると聞きました。出動自体の費用は負担しなくてよいのですか?
ドクターヘリは、迅速な医療提供を可能にする一方で、「高額な費用が請求されるのでは」という不安を抱く方も少なくありません。搭乗中に行われる医療行為の費用が患者負担になるのかも気になるところです。ドクターヘリの費用負担と要請方法について解説します。

ドクターヘリとは

ドクターヘリとは、救急医療用の特別な装備を備えたヘリコプターです。緊急で現場に駆けつけ、初期治療を行います。さらに、患者を適切な医療機関へ迅速に搬送する役割も担っています。
 
医師が現場に向かうことで早期に適切な医療が開始でき、救命率の向上や後遺症の軽減が期待されています。
 

ドクターヘリの有効性

2003年1月~2006年3月にかけて、千葉県内の3市から救急車とドクターヘリで搬送された患者を調べたところ、ドクターヘリ利用者の平均入院日数は21.8日、救急車利用者は38.5日と、16.7日短縮されていました。
 
入院中の治療費も、ドクターヘリは平均約132万円、救急車は約245万円と、費用を低く抑えています。この結果より、ドクターヘリの迅速な対応が救命率の向上だけでなく、医療効率や医療費の負担軽減にも大きく寄与していることがわかります。
 

ドクターヘリの出動費用

ドクターヘリの出動費用は患者に請求されません。その運航費用は国や自治体の公的資金で賄われており、要請や搬送に伴う費用が発生しない仕組みが整備されています。出動費用を患者に負担させることは救命活動を妨げる可能性があるためです。
 
ドクターヘリは、救命救急医療体制の柱として位置づけられ、一刻を争う場面で迅速な医療提供を実現することを目的としています。運営には高額な費用がかかります。1機あたりの年間運営費は約2億5000万円、1出動あたりに換算すると約46万円という計算です。これらの費用もすべて公費で支えられているため、患者負担はありません。
 

ドクターヘリ内で行われる医療行為の費用