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認知症の親の資産を勝手に動かすと罪に問われる可能性がある
結論から述べると、たとえ認知症になって自分で管理ができなくなった親の資産であっても、子どもが勝手に動かすと罪に問われる可能性があります。
認知症になると、通帳や財布などの置き所を忘れる、計算ができなくなる、契約書などの内容を理解できなくなるなどの症状が現れることがあり、金銭の管理や不動産売買などの契約行為に支障が出ます。そのため、家族が資産の管理能力に不安を感じて、代わりに管理したいと考えるのも無理はありません。
しかし、金融機関は原則として、預貯金などの引き出しや口座の解約を名義人本人にしか認めていません。金融機関所定の手続きを経ずに親の預貯金などを勝手に引き出すと、窃盗や横領に当たる可能性があるため注意が必要です。
通常、金融機関は名義人が認知症を発症したことを知ると、口座取引に制限をかけます(いわゆる口座凍結の状態)。そうなると、成年後見人など法的に認められた代理人を立てるまでは、預貯金の引き出しや口座の解約はできなくなります。
また、土地家屋などの不動産資産についても、売買などの契約ができるのは名義人本人のみで、家族は勝手に動かせません。名義人が認知症になり意思能力が失われると契約行為が無効とみなされるため、法的な代理人を立てるまでは実質、資産が凍結された状態になります。