高齢になっても「50万円の壁」で働くほど損って本当ですか? がっつり働かない老後設計が必要なのでしょうか
働く高齢者の年金を一部または全部カットする制度が、「在職老齢年金」です。働く高齢者の就業意欲を削ぐ制度ともいわれており、改正が予定されています。   本記事では、在職老齢年金の仕組みや60歳以降の働き方に関する考え方を解説します。

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改悪? 検討も。50万円の壁

「50万円の壁」とは、在職老齢年金制度による年金カットの対象となる基準です。60歳以上で、働きながら厚生年金を受給する方に影響します。
 
以下の「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計が50万円を超えると、超えた分の半額が支給停止となります。
 

・基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額
・総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

 
例えば、「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計が60万円だった場合、基準である50万円を10万円オーバーしています。10万円の半額である5万円が厚生年金からカットされる、という仕組みです。
 
フルタイムで働いている高齢者の場合、50万円の壁を超えてしまう可能性が考えられるでしょう。先ほどの例では毎月5万円、年間で60万円を損してしまいます。5年間になると、300万円です。
 
働く高齢者の就業意欲を削ぐという指摘もあり、在職老齢年金制度はこれまでも見直しがされてきました。実際に、政府は減額となる基準額を62万円に引き上げる方向で調整しています。
 
日本は少子高齢化が進んでいる背景もあり、人手不足に悩む企業が増えています。就業意欲がある高齢者のモチベーションを損ね、就業をセーブするのは企業としても社会としても損失です。
 
今後も、在職老齢年金は見直しが重ねられると考えられるでしょう。
 

在職老齢年金制度と老後設計の関連性