年収の壁といわれるものには「103万円」「106万円」「130万円」の壁があります。
これらの「壁」を超えてしまうと、扶養から外れたり、社会保険に加入したりすることになり、パート従業員の最終的な手取り額が減少することがあるのです。ここでは「130万円の壁」について説明します。
130万円の壁とは
社会保険の被扶養者でいるためには、年収が130万円未満(60歳以上または一定の障害者の場合は180万円未満)でなければなりません。
被扶養配偶者の場合、扶養内でいる限り健康保険や年金の保険料を支払わずに済みます。しかし、扶養から外れると国民健康保険料や国民年金保険料の支払い義務が生じ、その結果、最終的な手取り額が大きく減少します。
そのため「壁」を超えないように、就労調整をするパート従業員が多いのです。
シフト増が臨時の場合は
こうした状況を受け、2023年に「年収の壁・支援強化パッケージ」の1つとして、事業主の証明により被扶養者認定が円滑に行われる制度が設けられました。
これは、健康保険組合などが行う被扶養者認定の際、収入増加が一時的なものである旨を事業主が証明した場合は、扶養の認定が円滑に判断され得るという制度です。「一時的」の例としては、ほかの従業員の退職などにより業務量が増えたケースや突発的な大口案件の受注により忙しくなったケースなどが挙げられています。
時給が上がった場合や、労働契約による所定労働時間の増加などを伴う場合は、一時的な収入増加とは認められません。なお、この制度が利用できるのは、原則として連続2回までとされています。
まとめ
職場が忙しいときには、「シフトを増やして会社に協力してもいいかな」と思うパート従業員も多いと思います。しかし、諸事情により短時間しか働けない場合は、シフト増加に応じられないことをはっきり会社に伝えましょう。
また、シフトを増やせるときでも、シフト増加の期間について会社に確認しておくことで、恒常的にシフトが増えてしまうリスクを回避できると思われます。
なお、シフトの増加により130万円の壁を超えてしまいそうな場合は、扶養認定の際に事業主の証明を出してくれるよう、あらかじめ会社に頼んでおくとよいでしょう。