初任給を上げる企業が増えています。これに伴い40~50代の給料も上昇が期待されています。自分の年収では、高額療養費制度の限度額はいくらなのか、確認が必要です。
また、この制度には注意点があります。限度額の計算が1ヶ月単位で行われることです。冒頭の例で比較してみます。
例えば入院が1月10日~1月23日、医療費が100万円の場合、医療費の自己負担額は8万7430円です。月をまたいで入院した場合、例えば1月23日~2月5日、1月分の医療費60万円・2月分40万円の場合は、
1月分:8万100円+(60万円-26万7000円)×1%=8万3430円
2月分:8万100円+(40万円-26万7000)=8万1430円
2ヶ月分合計:8万3430円+8万1430円=16万4860円です。同じ日数の入院であっても、実際に支払う金額は大きく異なります。「約8万円準備しておけば安心」ではないのです。
図表2・3で見たとおり、今後限度額は上昇します。また、ご自身の年収が上がれば区分も変わります。年収が1500万円の方は現行約25万2600円ですが、やがて約36万300円まで上昇します。「高額療養費制度があるから安心」と“もしも”の準備を怠ると大変な事態になります。
高額療養費制度がカバーするのは医療費だけです。療養や通院・入院には他の費用も掛かります。貯金で賄えない部分は民間の医療保険等で備える必要があります。この機会に、自分の加入している医療保険の内容を確認することはお勧めです。
どのような時にいくらの保障内容になっているのか、今の自分にとって必要な金額を手当できているのかなど、加入して年数がたっている場合は、見直しを検討すべきかもしれません。掛け過ぎている場合は節約にもつながります。
出典
厚生労働省 医療保険制度改革について
財務省 令和7年度社会保障関係予算のポイント
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士