
▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
高額療養費制度の仕組み
病気やケガをした時、治療に関する心配とともに気になるのが医療費です。高額になった時に患者の負担を軽くする制度が“高額療養費制度”です。
例えば、病気になり医療費が100万円かかった場合、3割負担の人が窓口で支払う金額は30万円です。ですが、この人の年収が500万円と仮定すると自己負担額は図表1の計算式のように計算されます。
(図表1)
自己負担限度額=8万100円+(100万円-26万7000円)×1%=8万7430円
30万円の自己負担が軽減され8万7430円の支払額で済むのですから、家計にとっては大助かりです。
かつてはいったん30万円を窓口で支払った後、月ごとの自己負担限度額を超える部分が償還払いされる仕組みでした。一時的でも30万円を立て替え払いするのは負担が大きいです。
その後「限度額適用認定証」を提示することで立て替え不要となりましたが、現在はマイナンバー保険証を使えば事前申請や立て替え払いは不要です。
今後予定されている限度額の改正
このように高額療養費制度は頼りになる制度ですが、令和7年度予算案で限度額が引き上げられることが決まりました。内容は図表2のとおりです。
(図表2)
もともと限度額は年収に応じて区分されています。今回の引き上げも年収約1160万円の高収入区分は15%、年収に従いしだいに引き上げ率は下がり、住民税非課税の区分では2.7%の引き上げ率に抑制されています。
高齢化や高額薬剤の普及による医療費の増加傾向は、続くことが予想されます。高額療養費制度の見直しは今後も図表3のように予定されています。
(図表3)
令和8年8月以降は年収区分を細分化して、収入に見合った負担が求められる形になります。