体調不良により「退職」します。再就職先が見つかるまで「奨学金」の返済ができそうにないのですが、どうしたらいいのでしょうか?
体調を崩し休養が必要になったため、退職することにしたAさん。体調が回復したら再就職先を探すつもりですが、もう少し時間がかかりそうです。Aさんは奨学金を返済中で、返済が滞りそうでとても不安……。できれば親に頼らず、自分で解決したいと思って相談にいらっしゃいました。

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奨学金の返済が苦しくなったときの対処法

Aさんは、心機一転、退職して療養した後に再スタートを目指すことにしましたが、一時的にも収入がない期間ができてしまうので、奨学金の返済が心配になっています。Aさんは親を心配させたくないという気持ちが強く、自分一人で乗り切るためのアドバイスがほしいとのことでした。
 
日本学生支援機構の貸与奨学金を利用した場合、在学中に借りた総額に応じて毎月の返済額と返済年数が決まり、最長で20年間、返済を続けていくことになります。
 
ただし、災害や失業などで経済的に苦しくなり、返済が難しくなった場合には、「減額返還」と「返済期限猶予」の2つの救済策が用意されています。親に相談するのは切り札としてとっておき、まずは救済策を利用することで、乗り切ることを考えましょう。
 

(1) 減額返還

決められた返還月額で返済を続けていくのは難しいけれど、減額してもらえれば返済できるという場合、一定期間、1回の返済額を2分の1、3分の1、4分の1、3分の2に減らしてもらえます。
 
減額するには申請して審査を受けなければなりませんが、1回の申請で12ヶ月、最長15年(180月)の適用を受けられます。減額を受けた期間に利息が増えることはありませんが、月々の返済額が減る分に応じて返済期間が延長されます。
 

 

(2) 返還期限猶予

一時的に返済を休めるよう申請もできます。減額返還と同様に申請して審査を受けなければなりませんが、認められれば一定期間、返済が猶予されます。猶予期間中に利息が増えることはありませんが、期間が過ぎた後は返済が再開され、猶予を受けた期間に応じて返済期間が延長されるので、総返済額が減ることにはなりません。
 

 
どちらを利用しても総返済額は変わりませんが、返還期限猶予のほうが返済を延長する期間が長くなるので注意が必要です。返済があとどのくらい残っているか、どのくらいの期間の対策が必要かにもよりますが、4分の1でも3分の1でもよいので、可能なら減額返還を選ぶことをお勧めします。
 
ただ、どちらを選ぶにしても、返済が滞る前に手続きすることが重要です。延滞してしまうと選択の幅が狭くなり、親が連帯保証人になっている場合は、親に連絡がいってしまうこともあります
 

現状の把握も大切