
▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
繰上げ年金額の計算方法
繰上げ受給すると、65歳から受給開始する年金額(本来の年金額)から、次のとおり1ヶ月単位で減額されます(※1)。
繰上げ減額率=0.4%*×繰上げた月数(60歳~64歳、最大60ヶ月)
* 2022年4月1日以降の60歳到達者は、1ヶ月あたり0.5%から0.4%に改正。
仮に64歳から受給すると4.8%、最大60歳まで繰上げると24%の減額となり、減額された金額は生涯変わりません。また、あとから繰上げを取り消すこともできません。
本来の受給額に追い抜かれるのは何歳?
繰上げた年齢からの受給総額(累積)を、本来の年金総額が上回る損益分岐点を確認します。
試算には、2024年度のモデル年金額から算出した標準的な年金月額16万2483円(厚生年金9万4483円、基礎年金6万8000円)を用います(※2)。
これが本来の年金額です。では、この金額を使って繰上げ受給した場合の損益分岐点を次の表で見てみましょう。金額は、受給開始年齢ごとに右側の各年齢に達するまでに受給した年金総額です。例えば、60歳から繰上げる場合、79歳までの年金受給累計額は、
16万2483円/月×(1-0.24)×240ヶ月=2963万7000円
です。
なお、79歳とは79歳の12ヶ月目を指します。
本来の年金総額が、繰上げた受給総額を上回った場合に、表1 のように赤線で損益分岐点の境界を引いています。
60歳から繰上げた場合の損益分岐点は80歳ということです。80歳以降、支給総額は逆転し差が拡大します。また、損益分岐点は年金額にかかわらず同じです。
なお、税・社会保険料負担や諸控除は考慮していない、いわゆる額面の金額であることにご留意ください。