「約40年ぶり」に学資保険の「予定利率」を引き上げる保険会社があるというニュースを見ました。予定利率が上がるとどんなメリット・デメリットがありますか?
市中金利の上昇を受け、生保最大手の日本生命が一部の商品について平準払いの予定利率を上げたことで、他の保険会社も追随すると考えられます。予定利率が上がると保険料が安くなる可能性があります。学資保険の加入を検討している方は様子を見てはいかがでしょうか。

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3つの予定率と保険料への影響

生命保険の保険料は、契約時の予定利率、予定死亡率、予定事業費率という3つの予定率をもとに計算されます。将来の支払いに必要な保険金額は、過去の死亡統計をもとに、性別・年齢別の死亡者数を予測して計算します。この計算に用いる死亡率が予定死亡率です。
 
たとえば、若い人のほうが年配の人より死亡する確率は低いので、同じ保障内容だと若い人のほうが死亡保険の保険料が安くなります。男性より女性が長生きする人は多いので、女性のほうが死亡保険の保険料は安くなります。
 
保険事業を営むためには、さまざまな経費が必要です。この経費の予定額を計算する際に用いるのが予定事業費率です。これが高ければ保険料が高くなり、低ければ保険料は安くなります。
 
生命保険会社が契約者から受け取った保険料の一部を資産運用にあてますが、将来の資産運用による一定の運用収益をあらかじめ見込んで、その分の保険料を割り引きます。この割引率を予定利率といいます。通常、予定利率が上がると保険料は安くなり、下がると保険料は高くなります。
 
生命保険最大手の日本生命は、2025年1月2日以降に契約する一部の商品について、予定利率を引き上げました。当該企業によると、学資保険は現在の0.85%の利回りを1%に引き上げるほか、年金保険は0.6%から1%に、終身保険は0.25%から0.4%に、それぞれ引き上げます。
 
学資保険(契約者:父30歳、被保険者:子ども0歳、保険期間18年、受取総額300万円)の場合、改定前の月払い保険料は1万3350円から1万3130円と、220円安くなりました。
 
月単位で見れば大きな金額ではありませんが、年間では2640円、18年間では4万7520円の差になります。これにより、戻り率(受取総額÷総支払保険料)が、約104.04%から約105.78%に上昇します。
 

契約貸付利率も改定