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家賃の増減を請求できる要件
契約当事者が家賃の増減を請求できる権利を、借賃増減額請求権といいます。以下のいずれかに該当した場合、当事者は契約の条件に関わらず、相手方に請求の意思表示が到達してから将来に向かって[過去に遡及(そきゅう)しない]家賃の増減を請求することができます。
(1)不動産に対する租税その他の負担の増減
(2)不動産の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動
(3)近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となった
通常、契約条件の変更については当事者双方の合意が必要となりますが、借賃増減額請求権は借地借家法に規定する上記の要件に該当すれば、相手方の同意がなくても効力が発生します(大家さんからの値上げ通告は有効)。
また、「契約の条件に関わらず」とのことなので、例えば契約書に「3年ごとの更新の際に家賃の増減を協議する」と規定されていても、その時期に関わらず随時(大家さんの考えるタイミングで)請求することができます。
ただし、「一定の期間借賃を増額しない旨の特約」がある場合には、その期間は増額できません(逆に、一定期間、減額しない旨の特約は認められていません)。
上記3つの要件の事例としては、例えば、固定資産税の負担の増減、リノベーションなどの大規模改修による価値の向上、経年劣化など物件の劣化による価値の低減、新しい商業施設や交通インフラの整備などによる周辺環境の変化、賃料相場の大幅な変化、災害などによる被害などが挙げられます。