一人で育ててくれた母に「学費」の負担をかけたくありません。2種類の「奨学金」を同時に借りることは可能ですか?
大学生活を送るうえで経済的な負担を軽減する手段として、奨学金を利用しているご家庭は少なくありません。「人生の3大出費」ともいわれる教育費は、大学進学時に特に多くの費用が必要なため、奨学金を借りないと経済的に厳しいご家庭もあるでしょう。   そこで本記事では、2種類の奨学金を同時に利用できるのか、また併用する際の注意点についても解説します。奨学金を検討しているご家庭はぜひ参考にしてください。

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奨学金の種類

奨学金には大きく分けて「給付」と「貸与」の2種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
 

給付奨学金

給付奨学金は返済の必要がなく、家庭の経済状況や学生本人の学ぶ意欲があるかなどを考慮したうえで支給を決定します。独立行政法人日本学生支援機構の給付奨学金では、対象者の所得や支援区分によって支給額が決まります。
 
進学先の学校の種類や国公立か私立か、自宅通学かそうではないかによっても支給額は異なりますが、住民税非課税世帯(第1区分)の家庭では、個々の状況により月額1万7500円~7万5800円が支給されるようです。さらに、給付奨学金の対象者は、授業料と入学金の免除または減額も受けることができます。
 

貸与奨学金

貸与奨学金は卒業後に返済が必要な奨学金です。貸与奨学金はさらに第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(有利子)の2つに分かれていて、貸与奨学金では学力基準や、生計維持者の収入基準が設けられています。
 
毎月の貸与額は給付奨学金と同様に個々の状況により異なりますが、ひと月あたり約2万円~15万円となっています。さらに、入学時の一時金として入学時特別増額貸与奨学金(利子付)も利用可能です。
 

給付型と貸与型の奨学金は併用できる?

返済不要の給付奨学金を受けている場合でも、無利子で借りられる貸与奨学金を同時に利用することは可能です。ただし、給付奨学金の支援区分により貸与奨学金(無利子)に併給調整が適用される点に注意が必要です。この調整により、貸与奨学金(無利子)の月額が減額されたり、場合によっては0円になったりすることもあります。
 
独立行政法人日本学生支援機構の給付奨学金を受給している場合、貸与奨学金(無利子)を併用する際の貸与額は表1の通りです。ここでは昼間部の大学のケースを見ていきます。
 
表1

区分 第1区分 第2区分 第3区分 第4区分
(多子世帯)
第4区分
(理工農系)
国公立
(自宅)
0円 0円 2万300円 2万6500円 併給調整なし
国公立
(自宅外)
0円 0円 1万3800円 2万3100円 併給調整なし
私立
(自宅)
0円 0円 2万1700円 2万9800円 2万円、
3万4500円
私立
(自宅外)
0円 0円 1万9200円 2万円、
3万400円
2万円、
3万円、
4万4500円