「大学無償化制度」ってどのような制度ですか? 対象は「優秀な学生」だけなのでしょうか?
子どもを大学に進学させるとなると、多額の資金が必要となります。収入が多くない家庭や子どもが多い家庭で、工面に苦労するケースは珍しくないでしょう。   そこで国が設けた支援制度が「高等教育の修学支援新制度」、いわゆる大学無償化制度です。本記事では、大学無償化制度の概要や、成績優秀者しか利用できないのかなど、制度を利用できる条件について分かりやすく紹介します。

▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説

大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)とは

大学無償化制度は正式には「高等教育の修学支援新制度」といい、学ぶ意欲のある子どもたちの進学を経済的に支援することを目的としています。制度の対象者は、授業料・入学金の減免と返還の必要がない給付型奨学金の2つの支援を受けられ、大学や短期大学、高等専門学校、専門学校に低い負担で進学可能です。
 
支援額は世帯収入に応じて4段階に分けられており、最大で70万円の授業料減免と、91万円の給付型奨学金の支給を受けられます。

 

大学無償化制度の対象となる条件は?

大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)は、大学など対象の学校に進学する人が全員利用できる制度ではありません。次の2点について要件を満たしている学生を支援の対象としています。
 

・世帯収入・資産の要件を満たしている
・進学先で学ぶ意欲がある

 
具体的にはどのような基準が設けられているのか、以下でそれぞれ見てみましょう。

 

家庭の経済状況に関する条件

家庭の経済状況に関しては「住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯」の学生が対象となっています。また、令和6年度に対象者が私立理工農系に通う中間所得世帯の学生や多子世帯(親の扶養を受ける子が3人以上いる世帯)にも拡大されました。
 
世帯収入などの具体的な要件は図表1のとおりです。
 
【図表1】

対象者 年収の目安
※両親・本人(18歳)
・中学生の兄弟の4人世帯の場合
支援額
※令和7年度
住民税非課税世帯の学生 ~270万円 満額
住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生 ~300万円 満額の3分の2
~380万円 満額の3分の1
私立理工農系の学生 ~600万円 文系との授業料差額
多子世帯の学生 所得制限なし 満額(給付型奨学金は満額の4分の1)