パートの雇用契約書に「賞与あり」と記載されていました。この場合、一般的には何ヶ月分くらいもらえるものなのでしょうか?
2020年4月1日から「パートタイム・有期雇用労働法」が施行され、翌2021年4月1日からは中小企業も対象とされました。   このとき「同一労働同一賃金ガイドライン」により、労働者間では給与だけではなく賞与や福利厚生も公平とすることが原則となりました。「賞与」といえば、パートタイムの「賞与」の実態はどうなっているのでしょうか。

▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?

賞与支給は法的な義務はない

「正社員として勤める従業員には賞与(ボーナス)はあっても、パートタイムの労働者や有期労働者などには、賞与がなくても当然」と思う人もいるのではないでしょうか。
 
本来「賞与」とは従業員に対して臨時で支給する賃金で、企業の裁量によって決められていますが、実のところ法的には支給の義務はありません。したがって、賞与の制度を採用していないという企業もあります。
 
厚生労働省が調査している、「毎月勤労統計 令和6年9月分結果速報等」によると、調査産業全体の73%の事業所が賞与を支給しています。逆に考えると、27%の企業は賞与を支給していないということになります。
 
厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」の内容を見ると、賞与に関しては「同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。」と記載されています。
 
パートタイムや有期労働者でも正社員と同じような業務に熟達しているのであれば、同一の賞与を払う必要はあります。しかし、そもそも正社員にも賞与が支給されていなければ、支給する必要はないといえます。
 

支給規定も企業によってさまざま

前項のように、賞与は企業の裁量によって支給されるか否か決まりますが、賞与の金額や計算方法、支給回数なども、企業が自由に設定することができます。正社員の賞与の場合には、月給の3ヶ月や4ヶ月分などを年2回支給するというケースもあるのではないでしょうか。
 
ただしパートタイム労働者は、正社員と働く時間が違います。またパートタイムで働く場合、配偶者の扶養控除内で働いているという人も多いのではないでしょうか。
 
仮に月8万円の給与を受け取っている人の場合、年換算では96万円となります。これが正社員と同じような方法で計算され、月給3ヶ月分の賞与を年2回受け取ると年収は144万円となり、所得税や社会保険の扶養からも外れることになります。
 
また、配偶者(世帯主)の勤める企業によっては、所得税の扶養控除内で働いている場合に、配偶者手当が受け取れるケースもあります。所得税の配偶者控除は年収が103万円以下に受けられますので、年間7万円以上の賞与が出ると、この配偶者手当がなくなってしまいます。
 
さらに令和6年10月から、従業員数51人以上の企業に勤めるパートタイム労働者の場合は、年間収入が106万円を超えると社会保険に加入することが必要となりました。
 
その結果、上記の例のように月収8万円のパートタイム労働者は、この条件に当てはまる場合、年間10万円の賞与が支給されると社会保険の扶養から外れることになります。
 

企業の就業規則を確認しましょう