子どもが「自転車」の運転中に事故の「加害者」となってしまったら、賠償金を請求されることはあるのでしょうか?
自転車事故の増加傾向に伴い、2024年11月から道路交通法が改正され、スマートフォン等の「ながら運転」に対する罰則の強化や、「酒気帯び運転及びほう助」(運転者のみならず、酒類や自転車の提供者、同乗者)も罰則の対象となることとなりました。   本記事では、自転車の運転中に事故を起こし、加害者となってしまった場合に発生する責任や損害賠償の事例などについて確認していきます。

もしも、自転車運転中に事故加害者となってしまったら?

前述のとおり、道路交通法の改正により自転車運転の際の違反行為に対して罰則の強化が図られています。
 
万が一、事故加害者となってしまった場合、発生する可能性のある責任の1つ目は「刑事上」の責任です。
 
自転車事故における刑事上の責任とは、運転者がその違反行為によって事故を引き起こし、結果として他人に重大な被害を与えた場合に刑事罰を受ける責任のことです。例えば、重大な過失により他人を死傷させてしまった場合は「重過失致死傷罪」に問われる場合があります。刑事罰は、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。
 
2つ目の責任は、「民事上」の責任です。
 
これは、自転車事故によって被害者に与えた精神的・財産的損害を賠償する責任のことを指します。自転車事故で被害者に損害を与えた場合、一般的に賠償金や慰謝料の支払いが必要になります。
 
被害者のけがの状況や後遺症の有無などによって異なりますが、損害賠償金の内訳として以下のようなものが想定されます。

(1)治療費、入院費:治療や入院にかかった費用
(2)慰謝料:入院・通院・後遺障害に対する慰謝料、遺族に対する死亡慰謝料など、事故による精神的苦痛に対する賠償
(3)休業損害・逸失利益:事故によって休業となった損害や、事故がなければ本来得られていたはずの将来の収入に対する賠償