共働きで「年収700万+130万円」の家庭と、専業主婦世帯で「年収830万円」の家庭。手取り収入が多いのはどっち?「年収130万円の壁」を超えた場合の影響も解説
食料品やガソリンなど生活必需品の値上がりが続いている昨今、生活を維持するために収入を上げようと考えている人がいるかもしれません。世帯収入が同じでも、共働き世帯と専業主婦世帯での手取り収入の差はいくらになるのでしょうか。   本記事では、共働き世帯と専業主婦世帯での、それぞれの課税額・手取り収入の差はいくらになるかをシミュレーションします。

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年収130万だと、手取り収入はいくら?

厚生労働省が令和4年に公表した「パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況」によると、無期・有期雇用パート勤務への就業調整をした女性の半数以上(無期雇用で約60%、有期雇用で約55%)が、理由を「年収130万円を超えると配偶者の健康保険・厚生年金保険の被扶養者からはずれ、自分で加入しなければならなくなるから」と回答しました。
 
40代以上で年収130万円(月収約10万8333円、ボーナスなし)では、扶養家族から外れて自身で社会保険に加入するため、手取り額は年間で約22万円少なくなります。内訳を試算してみましょう。
 

<試算式>

・年収130万円-(厚生年金保険料12万780円+健康保険7万6428円+雇用保険7800円+所得税3200円+住民税1万6400円)=手取り見込み額107万7892円
(復興税・調整控除などを除外しています)

 
厚生労働省は2024年12月に、年収106万円の要件を取り除き、労働時間が週20時間以上では年収にかかわらず社会保険の加入対象とする方針(学生は対象外)を発表しました。年収130万円未満に抑えて働いていた人にも影響が出る可能性があります。
 

共働き世帯と専業主婦世帯との手取り見込み額の差はいくら?

総務省「家計調査」の2023年調査では、夫婦共働き世帯の実収入平均額は月額約69万2685円(年収約831万円)、専業主婦世帯の実収入平均額は月額約52万9445円(年収約635万円)で、月額では約16万円・年収では約195万円の収入差がありました。
 
それでは、40代以上世帯で年収が同じくらい(830万円)の場合、共働き世帯・専業主婦世帯の手取り収入見込み額の差はいくらになるのか、試算して表にまとめました(図表1)。
 
図表1

共働き世帯 専業主婦世帯
年収 夫(700万円) 妻(130万円) 夫(830万円・妻0円)
厚生年金保険料 64万7820円 12万780円 71万3700円
健康保険料 40万9932円 7万6428円 47万2464円
雇用保険料 4万2000円 7800円 4万9800円
所得税 29万6500円 3200円 42万7300円
住民税 37万2000円 1万6400円 44万2400円
手取り見込み額 522万8048円 107万7892円 618万7936円
世帯での手取り額 630万5940円 618万7936円