
クーリングオフができない
無料体験後、担当者はAさんに月額1万円のコースを勧めてきます。「契約はすぐに決められない。帰宅して検討したい」と伝えても、「今考えて」「今入会しないと月額料金が増える」とあれこれ言ってきます。契約しなければ帰れないと困ったAさん、「契約する」と担当者に言いました。
すると、その後で、中途解約すると違約金が2万円かかると聞かされました。契約前に言うべきことを後出しすることに不信感を持ったのですが、契約すると言ってしまったので契約しました。
やはり不信感はぬぐえず、帰宅後にやはり解約するためにメールでクーリングオフを通知したら、事業者から「クーリングオフ対象の取引ではない。解約するなら違約金を請求する」と返信がありました。
事業者の言っていることは本当でしょうか。ごまかすために言っているのではないのでしょうか。
セルフエステは特定商取引法の対象外
クーリングオフの対象となる取引は、主に特定商取引法により規定されています(金融商品取引法、宅地建物取引法等にもクーリングオフがあります)。
エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの7役務のうち、5万円を超えるもので、一定の期間(エステティックや美容医療は1ヶ月、他は2ヶ月)を超えるものが、特定商取引法の「特定継続的役務」として指定されています。
特定継続的役務提供を受ける場合は、正しく記載された書面(申込書面または契約書面)を受け取ってから8日間であれば、クーリングオフができます。
また、クーリングオフの期間が過ぎても、将来に向かって中途解約ができます。その際、事業者が中途解約における損害賠償などを求める場合がありますが、エステティックや美容医療が2万円(役務提供開始後は2万円か契約残金の10%のうちいずれか低い額)に上限金額が定められています。
しかし、セルフエステは自分で機械を使って行う(店舗の機械を使う、機械を借りるか購入して家で行うなど)で、エステティシャンによる施術を受けるものではないので、特定継続的役務提供にならず、特定商取引法の対象外です。よって、クーリングオフはできませんし、中途解約の損害賠償の上限も適用外なのです。
ただし、特定継続的役務提供にならなくても、街頭で勧誘を受けて店舗に連れてこられて契約したのであれば、訪問販売としてクーリングオフができることもあります。