母が亡くなりました。母と私の2人とも貯金がないので「相続税」が払えないかもしれません。「物納」という制度があるそうですが、私でも使えるのでしょうか?
相続が発生したときに、相続税が発生する場合はあります。その際に相続財産の多くが土地・建物等の不動産の場合、現金が足りず相続税を払うことができないケースもあるでしょう。そのような事態においては、「延納」や「物納」といった方法があります。   今回は、どのような条件で「物納」が可能なのか見ていきましょう

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相続税の現状

国税庁の「令和5年分 相続税の申告事績の概要」によると、令和5年分における死亡者数は157万6016人でした。
 
そのうち、相続税の申告書の提出に係る被相続人数は15万5740人、課税割合は9.9%、相続税の課税価格の総額は21兆6335億円、申告税額の総額は3兆53億円でした。死亡者数は前年とほぼ同じでしたが、被相続人数は2.9%増、課税割合は0.3ポイント、税額は7.4%増となっています。
  

相続税の物納とは

まず、相続税の納付について解説します。
 
原則として、相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月以内に金銭で一括納付します。そして相続税については、延納をしても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請によって、納付が困難とする金額を限度とし一定の相続財産による納付(物納)ができます。
 

いつまでに申請しなければいけないの? どのような要件であれば物納が申請できるの?

物納をするためには、納期限または納付すべき日(物納申請期限)までに物納申請書に物納手続関係の書類を添付し提出しなくてはなりません。そして、物納申請書が提出された場合、物納申請期限から3ヶ月以内に許可または却下の結果が出ます。
 
物納は、次に挙げるすべての要件を満たしている場合に申請可能となります。
 

1.延納をしても金銭で納付することを困難とする事由があること。かつ、納付が困難とする金額が限度とすること