
▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
年金収入があっても生活保護に頼れる?
公的年金は、高齢による稼得能力の減退を補てんし、老後生活の安定を図るものです。老後も仕事を続けるか否かや、資産を持っているかどうかにかかわらず、現役時代の保険料納付実績などに基づいて年金は支給されます。
年金額は人によって支給額が異なり、必ずしも年金受給者の生活を保障するものとはなりません。例えば会社員ではなく自営業の場合、厚生年金には加入しておらず国民年金だけを払っているケースがほとんどです。
日本年金機構によると令和6年4月分からの老齢基礎年金額は満額でも月額6万8000円となるため、保険料納付実績によっては老後の生活が厳しくなるケースも考えられます。
これに対して生活保護制度は、最低限度の生活保障と自立の助長を目的にしています。年金収入を得ている人でも、支給額を含む収入が厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費に満たない場合は、生活保護に頼ることが可能です。
年金生活者の保護費はどのように決まる?
生活保護制度では、居住地域や年齢・世帯の人数などによって最低生活費が定められています。年金や就労などによる収入が最低生活費以下の場合に、差額が保護費として支給されます。
例えば最低生活費が13万円だとすると、年金収入が6万円であれば、保護費は差額の7万円が目安です。年金収入以外にアルバイト収入がある場合は、その分が差し引かれることになります。
しかし厚生労働省によれば、勤労にともなう必要経費の補てんや、勤労意欲の増進・自立助長の目的で、勤労収入の一部が手元に残るように「勤労控除」があり、アルバイトなどの勤労収入が多いほど手元に残るお金が多くなるよう設定されているようです。
扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先されます。親族からの仕送りがあっても最低生活費を下回る場合に、差額が保護費として支給されると考えられます。ただし扶養義務者による扶養の可否などが保護の要否の判定に影響を及ぼすものではありません。