
▼がんの発覚で「住宅ローン」がチャラに!? その驚きの理由を解説
死亡保険金と相続税
死亡保険金の課税に関しては、保険料負担者と被保険者が同一の場合、相続税の対象となります。しかし、ローン利用者(借り主)が死亡した場合、保険金を受け取るのは金融機関ですので、相続税は発生しません。
金融機関が受け取った保険金は、保険金は住宅ローンの残債の返済に充てられます。したがって、その時点で住宅ローンは完済されますので、住宅ローンの残債は、相続人に承継されません。
そのため、相続税の計算でも債務控除の対象にはなりません。単に、住宅を相続することになります。なお、債務控除とは、相続税の計算時に被相続人が残した借入金などの債務を、遺産の総額から差し引くことができるものをいいます。
所得税(債務免除益)
相続の放棄をする場合を除き、相続人が住宅ローンの残債を引き継ぎます。しかし、団信に加入している場合は、金融機関等が受け取る保険金は住宅ローンの残債に充当され、住宅ローンは免除されますので、住宅ローンの残債はその相続人に承継されません。
相続人はローン支払いを免除されたわけですから、所得税課税の問題が生じるのではないかと考えられますが、所得税の関係は生じないとされています。
また、疾病により保険金が金融機関に支払われた場合、金融機関からローンの残債が免除されます。この場合は、その経済的利益は体の傷害に起因して受けるものなので所得税の課税関係は生じません。
団信に未加入の場合
フラット35は団信の加入が任意なので、健康上の問題などで団信に加入してない場合もあるでしょう。
住宅ローンの借り主が生命保険に加入している場合、相続人が保険会社から死亡保険金を直接受け取って、住宅ローンの返済に充てることになります。死亡保険金の受け取りは、みなし相続財産として、相続税の対象となります。
ただし、死亡保険金には相続税の非課税額があります(死亡保険金の非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数)。この非課税限度額を死亡保険金が上回った場合には、相続税が発生します。
なお、死亡保険金で住宅ローンを返済したケースでは、住宅ローンは債務控除されます。