電車に乗るのが好きな友人。「お金かからない?」と聞いたところ「この前は4時間乗ったけど切符代は150円だったよ」との回答。どういうことでしょうか?
老若男女を問わず「電車が好き」という方もいるかもしれません。写真を撮るのが好きな「撮り鉄」の方や、電車に乗るのが好きな「乗り鉄」の方など、趣味のかたちは人それぞれです。「乗り鉄」の方のなかには、「休日は何時間でも電車に乗っていたい」という方もいることでしょう。   一般の方にはあまりなじみがないかもしれませんが、「大回り乗車」と呼ばれる電車の乗り方があることをご存じでしょうか。「大回り乗車」を活用することで、例えば「150円の切符代で4時間電車に乗り続ける」といったことも可能です。当記事では、山手線を含む「大都市近郊区間内」の運賃体系について解説します。

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山手線を含む「大都市近郊区間内」の運賃は「最も安い経路」で計算される

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)によると、山手線を含む「大都市近郊区間内のみを普通乗車券でご利用になる場合は、実際にご乗車になる経路にかかわらず、最も安くなる経路で計算した運賃で乗車する」ことが可能です。
 
西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)は「『大都市近郊区間』とはどのようなものですか」との問いに対し、「大都市近郊区間は、東京・大阪・福岡などの都市圏に設定されています」と回答しています。例えば、大阪環状線は大都市近郊区間に含まれるため、山手線と同様に「最も安い経路」で計算した運賃で乗車することが可能です。
 

乗車経路は問わないためいわゆる「大回り乗車」も可能

大都市近郊区間内のみを普通乗車券で利用する場合、最も安い経路で計算した運賃で乗車できます。重複しない限り乗車する経路は問わないため、いわゆる「大回り乗車」と呼ばれる電車の乗り方も可能です。
 
「大回り乗車」は、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)や西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)が推奨している経路ではありません。しかし、運賃計算の特例を利用し大回りのルートで鉄道の旅を楽しむ経路を鉄道愛好家の間では「大回り乗車」と呼んでいます。
 
例えば、品川から東京まで山手線で移動する場合、品川から内回りに乗って「高輪ゲートウェイ→田町→浜松町→新橋→有楽町」と乗車し、東京まで向かうルートが一般的かもしれません。しかし、大都市近郊区間にあたる山手線では、品川から外回りに乗って、大崎、渋谷、新宿、池袋、上野、秋葉原を経由し、東京まで向かうことも可能です。
 
どちらのルートで東京に向かっても最短経路で計算されるため、運賃は表1に従い「180円(IC運賃:178円)」となります。
 
表1

営業キロ IC運賃 きっぷの運賃
1~3 146円 150円
4~6 167円 170円
7~10 178円 180円
11~15 208円 210円
16~20 274円 280円