“おひとりさま”の私に万一のことが起きたとき、愛犬に「お金を遺す方法」はありますか?
未婚の男女やひとり暮らしの方など、ペットの世話を頼む家族がいない人が増えています。自分の身に万一のことが起きたとき、取り残されるペットの世話をどうするか、殺処分されてしまうかもしれないと不安に思うでしょう。   残念ながら、「法律上」は、ペットは物なのでペットに財産を残すことはできません。もしものときペットの世話を誰に頼むのか早めに対策を考えておきましょう。この記事では、「負担付贈与」「負担付死因贈与」「信託の活用」について紹介します。

▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?

負担付遺贈とは

ペットのための負担付遺贈とは、ペットの世話などを条件に遺言によって財産を無償で与えるものです(民法1002条) 。受遺者にはペットの世話の義務を課すことになりますので、遺贈を拒否されないように、生前に相手とよく話し合って承諾を得ておくことが重要です。
 
法律で、受遺者の責任の範囲は、遺贈される目的物の価格を超えない限度とされています。ペットフード代、病院代、トリミング代など飼育に毎月いくら必要かを調べ、ペットの平均余命を参考にペットが亡くなるまでにいくら必要かを見積もり、十分な世話をしてもらえる金額を遺贈しましょう。
 
遺言書は公正証書遺言で作成し、遺言者である飼い主が亡くなった後、遺言を実現してくれる遺言執行者を指定しておくことが大切です。
 

負担付死因贈与とは

ペットのための負担付死因贈与とは、ペットの世話の義務(負担)を付けた、死亡によって効力を生じる贈与契約です(民法554条)。遺贈と大きく違う点は、遺贈は一方の意思だけでもできますが、契約は双方の合意が必要という点です。また、契約なので、一方的な変更や撤回は原則できません。
 
契約は、後日のトラブルを防ぐために書面(公正証書)を作成しておくと良いでしょう。なお、死因贈与には「遺贈」の規定が準用されます。
 

民事信託の活用