年金暮らしの父が「シルバー人材センター」に登録。夫婦で「月25万円」の年金でも物価高が気になるらしいけど、この働き方で「安定した収入」は得られるのでしょうか?
物価や社会保険料の上昇により、年金だけでは生活に不安を感じるシニア層も少なくないでしょう。老後の働き方にはさまざまな選択肢がありますが、その一つに「シルバー人材センター」があります。そこではどのような仕事が提供されているのでしょうか。   本記事では、夫婦で25万円の年金で生活が可能かどうか、また「シルバー人材センター」の働き方や給与形態について詳しく解説します。

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夫婦で年金が月25万円あれば生活は可能か?

総務省統計局の令和5年調査によると、65歳以上の夫婦2人のみの無職世帯の1ヶ月の平均的な支出は約28万2000円とされています。
 
ただし、このデータは持ち家・賃貸のどちらの世帯も含んだ平均であることから住居費は1万6827円と低めとなっており、賃貸住まいの場合はさらに負担が大きくなると考えられます。
 
一方、実際の収入を見ると、夫婦2人の場合、社会保障給付が21万8441円、その他の収入が2万6139円となり、これらを合計した実収入は24万4580円です。実収入と前記した支出の差額は約3万7000円で、十分な生活を維持するためには不足が生じます。
 
平均的な収入で40年間就業した場合の標準的な年金額は夫婦2人で約23万円(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金/令和6年度)です。
 
居住地が都心か地方か、また夫婦のライフスタイルなどによって必要な生活費は大きく異なるため一概には言えませんが、本事例の「夫婦で月25万円」は標準値以上であるにもかかわらず、年金以外の収入源がなければ生活費が不足する可能性があるようです。
 

シルバー人材センターの登録方法や仕事内容

シルバー人材センターで働くには、まず入会手続きが必要です。入会資格は、健康で働く意欲がある60歳以上の人で、年齢の上限はありません。そのため、70代や80代の人も登録できます。ただし、地域のセンターの趣旨に賛同し、その市区町村内に住んでいることが条件です。また、所定の会費を支払う必要もあります。
 
センターが提供する仕事内容は、事務系や管理系、サービス業務、清掃業務など多岐にわたります。パソコン指導や経理といったスキルを活かせる業務から、電球交換や家具移動などの軽作業も多く、初めての人でも気軽に始められます。
 
仕事が完了すると、その内容に応じた「配分金」が支払われます。配分金は給与や報酬ではなく、雇用契約に基づかない請負や委任という形式です。
 
派遣や職業紹介は「賃金」となり、最低賃金法が適用され、配分金が最低賃金を下回ることはありませんが、請負や委任では適用されないため、事前に確認することが大切です。
 

シルバー人材センターでは安定した収入は担保されにくい