女性用性感マッサージ体験記では、セックスのとき自身の性欲を相手に伝えることをためらい、「いつも不完全燃焼に終わっていた」と話す女性が、人生初の女性用性感マッサージを体験。男性セラピストに「こうしてほしい」とオーダーすることで、欲望を伝えるレッスンをしたのだとか。そのレポートをお届けします。
セックスのときに自分の性欲を抑え込むことが多かった。「こうしてほしい」「それはちょっと違う」と言えなくて、欲が満たされないまま、不完全燃焼に終わることも少なくなかった。初体験から十数年経つ最近までそうだった。
「(細かくリクエストしたり、そのやり方は感じないと暗に伝えることにより)プライドが高そうな相手の自尊心を傷つけるのが可哀想」
「この人はこのやり方が正しいと信じて、長年生きてきたのだから、それを否定するのは気の毒」
という、独りよがりな同情的感情が根底にはあったと思う。とにかく欲を口にすることができなかった。でも、言えるようになりたい――。
気持ちよくないのに演技をしている瞬間、このまま欲に蓋をして、自分の理想のセックスができないまま歳を重ねていくのは、とても虚しいことではないかと強く思った。
性欲を的確に、まっすぐ伝える練習をしたい。レッスンするために、女性用性感マッサージ(※)を試してみることにした。
※男性セラピストが女性客に対し、アロマオイルなどで全身のリラクゼーションマッサージをした後、手や舌で性感帯を刺激し、快感を与えるサービス
■女性用性感マッサージの予約~当日までの流れ。まずは、好みの男性セラピストを選んで……
ネットで情報収集するうちに、全国の女性向け風俗店情報を集めたポータルサイト「Kaikan」にたどり着いた。出張ホストや女性用性感マッサージ等のサービスを提供する店が多数掲載されている。
そのなかで大人の女性をターゲットに設定していそうな、ラグジュアリーなイメージの女性用性感マッサージ店に惹かれ、予約することにした。
せっかくなので、自分のタイプといえるような男性セラピストを指名したい。綺麗な顔立ちのセラピストたちが並ぶページを見ながら、顔にはモザイクがかかっているけれど、清潔感のある髪型や180cmを超える長身、細身だが筋肉質といった情報から「おそらく見目麗しい男性だろう」と思えるセラピストを選択した。
予約方法は電話、LINE、メール、ホームページの予約フォーム等、いくつかあるので、好きな方法を選ぶ。自分の連絡先と希望セラピスト、コース、利用日時、待ち合わせ場所などを記載して予約を入れると、1時間もしないうちに「◯月◯日◯時、◯◯(セラピスト名)でご予約承りました」等と返信が来た。
そちらに返信すると予約確定となる。前日に届いたリマインドメールには、当日の流れや注意事項等が書かれ、当日は自分の服装等、待ち合わせ時の目印になる情報をこちらから連絡して、いざ約束の時間に。
■イメージ通りのハンサム男性と落ち合ってホテルへ
待ち合わせ場所はラブホテルが多い都内某駅前を指定した。
5分前に到着して、少し緊張しながら、あの人かなこの人かな……と目だけキョロキョロしていると、思わぬ方向から「xxさんですか?」と声をかけられる。ゆっくり視線を向けると、精悍な顔立ちのすらりとした長身男性がいた。たしかに私が予約した男性(ここではNさんとしよう)だ。
Nさんのエスコートで近くのホテルへ向かう。
女性用性感マッサージでは、ホテル料金はもちろんお客持ちとなる。入口で2時間分の料金を支払い、部屋に移動してからサービス料を手渡す。
Nさんはきびきびと動いて、脱いだアウターをハンガーにかけてくれたり、買っておいてくれた飲み物を手渡してくれたりと、紳士的な立ち居振る舞いをする。その後、カウンセリングシートを渡され、サービスの利用目的や性感帯、触ってほしくない部位、してほしいこと、してほしくないことなどを書いていく。
2時間で性感マッサージ料金とホテル代を含めて25000円ほどの出費となる。
これだけ大金を投じているわけだから、してほしいこと、してほしくないことを正直に書いて、いざサービスが始まって違和感があったら素直に伝えよう。そう思いながら書いた。
■優しく、艶っぽい女性用性感マッサージで潤う
一緒にお風呂に入ろうと誘われるも、ハンサムすぎるNさんと入浴するのは、どうも気が引けてしまい断った。それぞれシャワーを浴びて、Nさんが羽織らせてくれたバスローブをまとって、ベッドへ。
Nさんの顔が近づいてきて、しばらく柔らかいキスをしてくれて、こちらの気持ちを高めた後、うつ伏せの状態になって、アロマオイルでのマッサージがスタート。最初はごく一般的なマッサージ店に来ている気分になる。まずはふくらはぎから、痛みを全然感じない、超ソフトなマッサージが始まる。これだけで癒やされる。
Nさんの手は時間をかけてゆっくり、膝、太ももへと移動して、足の間の敏感な部分にときどき指が触れるか触れないかの際どいタッチで甘い責めをしてくる。うつ伏せになったまま、細い息が漏れてしまう。同時に自分のなかが潤って、溢れているのを感じていた。
「綺麗な体」「お尻もすごく綺麗」。下半身のマッサージを終えると、Nさんはリップ・サービスをしながら、マッサージを終えた部分に唇を這わせる。一つひとつの動作が繊細なガラス細工を扱うかのように丁寧だ。
■女性用性感マッサージを使ってみて、わかったこと
背面の施術を終えると今度は仰向けになる。全身の性感マッサージなので、また足先からマッサージと唇でのタッチが繰り返される。足の間に到達するとNさんがそこを唇と舌で優しく高度な技術で責めてきて、自然と声が漏れる。とても気持ちのよい動作があったので、「さっきの、もう1回してほしい」とリクエストすると、すぐに応じてくれる。
上半身に移って脇腹やおへそ周り、バスト、「感じるから」とリクエストしていた首元や顎の裏など、Nさんの穏やかながら、艶っぽい愛撫は素晴らしく、とろとろと溶けていきそうになる。アイスクリームになった気分。
合間に自分の欲が満たされる行為をリクエストする。カウンセリングシートに書いておいた「ベッドでゴロゴロしながら、後ろから抱き締めてほしい」という要望をきいてもらう。
「Nさん、ちょっと休憩したいな。こっちに来てちょっと抱きしめて」
「わかった」
こんな感じで願いは簡単に叶った。
背中に密着してきた男性が前面に腕を回す形で、すっぽりと包み込むように優しく抱かれるのが好きで、それだけでかなり欲が満たされる。
挿入は当然気持ちいいけれど、ただギュッと抱き締めてほしい。それを強く求めている瞬間もある。同様の行為を男性に対してするのも好きで、欲が満たされる感覚があるので、体勢を変えてNさんをしばらく背後から抱き締めていた。
■欲を素直に伝えることの大切さ
サービス終了後は順にシャワーを浴びる。ヘアとメイクを直したかったので、Nさんに先に出てもらった。私をリピート客にするために、Nさんは「また会いたい」「もっと一緒にいたい」等、何度か口にしたけれど、私がNさんを指名することはもうない。
たしかにとても気持ちよかった。あらかじめリクエストしているから、してほしいことをしてくれるし、してほしくないことはしてこないし、何よりソフトタッチで優しくて癒やされて、かつ欲が一定量は満たされる。
もし少しでも興味があるなら、ひとつの経験として、女性用性感マッサージなどこの手のサービスを利用してみるのを強くおすすめしたい。
ただ、私は今回この女性用性感マッサージを利用したことで気づいた。完全に欲が満たされるのは、自分がそのとき、大好きでたまらないパートナーとセックスすることなんだな、と。どんなに見目麗しい外見の男性セラピストがサービスしてくれても、心の底から愛おしいと思える男性には叶わない。
「こうしてほしい」「これはしてほしくない」「それはちょっと違うからもっとこうして」等、パートナーに対して遠慮せずに伝え、逆に伝えてもらう習慣を持てたなら。誰かとふたりで性欲を満たしたいと思うときは、それが自分にとって最も理想的な形なのだと気づいた。
またいつか好きな人ができて、セックスすることがあったら、自分の欲を素直に伝えよう。自分勝手な気遣いなんてせずに、意思をまっすぐ言葉にしよう。
自分の欲を表現し、相手に知ってもらうのは、ふたりで性を満喫し、幸せになることにつながる。
もう自分にも相手にも嘘は吐かない。そう決意できたから、良い人生経験になったと思う。
Text/塔子
東京で生きる30代女性。自分のことをややこしい性格だと自覚している。
※この記事は2018年11月9日に公開されたものです。
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