発信元は自分だった?

にもかかわらず、本人自身は、「相手を傷つける言葉」を自分も遣っていると気づいていません。

ほんとうは、自分が最初に「相手を傷つける言葉」を言った発信元であったとしても、それに気づかずに、「相手に傷つけられた」と思い込んでいる人も少なくないのです。

それだけではありません。

自分に厳しい人は相手の言葉に敏感に反応して傷つくだけでなく、自分自身の遣う言葉によっても傷ついています。

たとえば自分が、他者に向かって、

「馬鹿ヤロー!」

と感情的になって怒鳴ったとしましょう。

このとき実際に怒鳴っているのは自分自身ですが、無意識のところでは、同時に、かつて自分が「馬鹿ヤロー!」と怒鳴られている場面を想起していて、今の場面と過去のその場面とが重なっています。

そのために、怒鳴ることで、二重、三重に自分を傷つけることにもなるのです。

つまり、こういうことです。

・かつて誰かに(多くは家族関係で)言われて何度も傷ついた。   

・自分もその言動をしっかりと学習していて、知らないうちに「同じ言葉」を相手に遣っている。自分の言ったその言葉は、自分の過去と重なっていて、さらに自分を傷つけることになる。

・その言葉を遣うことで、相手との関係が悪くなれば、それによって再び傷つくことになる。

自分に厳しい人の悪循環

実は、「相手を傷つける言葉」の影響はそれだけでありません。

自分の言った言葉は、どんな言葉であれ、自分の心と身体に響きます。

たとえば、

「いつも力になってくれて、ありがとう。感謝しています」

という言葉を、声を出して言ってみてください。

どんな気持ちになりますか。

気分はどうでしょうか。

身体は、どんなふうになりますか。

実際には、これは相手に向けて言う言葉です。けれども、その言葉を言っている自分自身の心がほのかにポジティブな気分に満たされ、身体も、肉体的に緩みます。

では、これはどうでしょうか。

「ふざけるんじゃないよ、この馬鹿ヤロー!」

と、大声で怒鳴ってみてください。

どんな気分になりますか。

身体は、どんなふうになっているでしょうか。

こんな乱暴な言葉で心が満たされることは決してありません。

感情を爆発させることで、時にはスッキリすることもありますが、繰り返し遣っていれば、後味の悪さだけが残ります。

また、その言葉そのものが、肉体的に緊張をもたらします。

こんな乱暴な言葉を絶えず遣ったり心の中で呟いたりしていれば、肉体は絶えず緊張を強いられるので、健康的にも決して好ましいとは言えないでしょう。

こんなふうに、自分に厳しい人は何重にも自分を傷つけながら、さらに茨の道へと進んでいくのです。
 

(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

石原加受子(いしはら・かずこ)
心理カウンセラー。心理相談研究所オールイズワン代表。日本カウンセリング学会会員、日本学校メンタルヘルス学会会員、日本ヒーリングリラクセーション協会元理事、厚生労働省認定「健康・生きがいづくり」 アドバイザー。性格改善、対人関係、親子関係などのセミナー、グループ・ワーク、カウンセリングを実施。メルマガ『楽に生きる!石原加受子の「自分中心」心理学』 を配信中。著書は累計100万部超。

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