木下さん(仮名、40歳女性、会社員)は、忙しくも充実した毎日を送っていらっしゃいます。以前は、収入はある程度あるにもかかわらず、「お金が貯まらなかった」そうですが、今では計画通りに貯金ができるようになり、数年後にはマイホームの購入を計画されています。お金に向き合うことを後回しにしていた木下さんが、“年に100万円貯められる人”になるまでのきっかけと道のりを教えてくださいました。

きっかけは身近な人の生活

木下さんは、ご主人(40歳、会社員)と2人のお子さん(長女6歳、長男2歳)の4人家族です。家計を振り返ることができたきっかけは、2年前、同い年で木下さん一家と同じ、4人家族の勤務先の後輩から、「家を買うことにしたの」と聞いたことでした。

それまでは、お金を貯めようと思っていても、あれば使ってしまうという習慣が癖になってしまい、なかなか直すことができませんでした。後輩の一言に、「周りの人は、先のことを考えて計画的に貯金をしているんだ」と痛感したとのこと。2人目のお子さんが生まれたこともあり、「家を買いたいし、教育費も貯めなくちゃ!家計を見直そう」と強く思われたそうです。

お金が貯まらない原因を分析して実行

いくら使っているか把握するために、まずは家計簿をつけてみることにされました。木下さんご家族の、当時の家計は次のようになります。

ご主人:月収18万円、ボーナス50万円
木下さん:月収14万円、ボーナス40万円
児童手当:2万5,000円

支出
家賃:12万円、駐車場:1万円、水道光熱費:2.7万円、日用品:3,000円、食費:7万円、通信費:2万円、被服費:1.2万円、医療費:3,000円、保険料:1万円、保育料:5万円、小遣い(夫:2万円、妻:2万円)、レジャー費やその他:2万円

ボーナス:帰省・旅行費用40万円、毎月の赤字分の補てんなど50万円

毎月の収入34.5万円に対して支出は38.5万円。赤字分はボーナスをあてています。今までは、貯金を増やそうと思うたびに、ご主人のお金の使い方を注意したり、食費を減らすためにスーパーをはしごしたり、1円でも安くしようと頑張ってみたそうです。「でもストレスが増すばかりで、また思ったほど効果はなかったので長続きしませんでした」とおっしゃいます。

貯金できるようになった理由は?

家計簿をつけてみて、収入に対して家賃が占める割合が大きい、と思われたそうです。そこで、ご主人とも相談し、ボーナスが出たらこの機会に少し広くて家賃の安いマンションに引っ越ししよう、と決めました。見つけた不動産の家賃は8万円です。

駅までは、歩いて20分ほどかかりますが、近くに広い公園があり、お子さんたちは大満足。休日は公園に出かけることが多くなり、外食費やレジャー費が以前よりかからなくなったそうです。また、まとめ買いを心掛けることで余分な買い物が減り、食費とレジャー費とで合わせて1万円削減できるようになりました。さらに、幼児教育・保育の無償化により、保育料の負担が3.5万円減った分も貯蓄に回すことができます。

それに加えて、インターネット回線の変更と格安スマホを利用することで、通信料を1万円ほど安く抑えることができました。削減できる金額は、使う前に貯蓄用の口座へ移し、残りのお金で生活すると決めて管理します。ご主人やお子さんたちも、数年後のマイホーム購入を今から楽しみにしているそうです。木下さんは、さらに社内の制度を活用して資格を取り、将来の収入アップを計画中です。

貯金する目標ができた

木下さんは、「赤字の原因がわからないままでは貯金は増やせませんし、また何となく“貯金しないと”と思っていてもうまくいかないようです。自分が“貯金できる人”になれたのは、目標がはっきりとしたからだと思います」とおっしゃっています。

どうしてお金が貯められないかがわかったので、解決へと進むことができましたね。今後は老後資金にも目を向けて貯めていかなければなりません。これからもご家族でお金について話す機会を作って、協力してもらい、計画的に貯蓄を増やしていっていただきたいと思います。

 
文・藤原洋子
所属・FP dream代表
生命保険会社で営業職を経験し、AFP資格を取得。現在は、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、執筆、相談、セミナーを通して活動しています。

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