◆ついに決断「やってやろうじゃないの」

病院の待合
 忙しいのに、わざわざ時間を取って納得いくまで話をしてくれるという先生のお言葉に甘えて、夕方まで待ち、改めて手術について、抗がん剤について詳しく話を聞きました。

 先生はわたしの不安を真摯に受け止めてくれつつも、何度聞いてもやはり「強く勧める」というスタンスは変わりません。

 基本的にすべての治療は、本人の選択と同意がないと行えないため「強くお勧めする」という言い方でしたが「この先生がここまで熱心に説明してくれるということは、私にはこの治療が必要なんだ」と思うようになりました。

 きっと普通なら、夕方に時間をとってまで対応してくれる先生なんていないいと思いましたし、こんなに優しくて親切で、患者に寄り添ってくれる先生が、そこまで言うならやるっきゃない。

 長い時間話をして、私の心が決まりました。やってやろうじゃないの。

 私の右胸にあるがんをバシっと切り取って、抗がん剤とやらをぶち込んで、身体からがん細胞を一掃してやろうじゃないの! と、メラメラとした気持ちが湧き上がってきました。

 きっと乳がんハイ? アドレナリンがドバドバ出ていたと思います。ハラが決まったところで、あとは手術を待つのみ。がん患者が多いのでベッドが空き次第、案内の電話がかかってくるとのこと。

 手術が迫っているのに、日にちが分からない。ドキドキしながら電話を待つ日々が続きました……。

<文/塩辛いか乃 監修/石田二郎(医療法人永仁会 Seeds Clinic 新宿三丁目)>

【塩辛いか乃】

世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako