◆不倫を繰り返してきた父親のクズっぷり

 一方の父親・夏生は妻へのまっすぐな愛を抱いている。それなのに過去、彼は店長を務めるスーパーで働く女性たちと不倫を繰り返してきた。あるときは「仕事を辞めたい」と言う女性を引き止めるために。またあるときは落ち込んだ女性を救うために。

「泥濘の食卓」
「不倫をしたくてしたんじゃない」

 彼はそう言う。このあたりに不倫を繰り返す男のクズっぷりが伺える。妻は大事、だが不倫はやめられない。したくてしているわけではない。相手の女性からの誘いを断ったら女性が傷つく。男たるもの、そんなふうに女性を拒絶はできない……と。いわば据え膳食わぬは男の恥というわけだ。