◆自己中心的な独裁者という言葉でも足りない悪
悪役のマグニフィコ王は、初めこそ魔法の力で国民の願いをかなえている、善良で偉大な王にも見える。だが、実際にかなえるのは国のためになる願いだけで、他の願いは持ち主に返さず、その力を利用して強大な魔力を手に入れようともしていたのだ。
端的に言えば自己中心的な独裁者なのだが、そうした単純な言葉だけに落ち着かせてはくれない。そのことがはっきりと表れるのが、「無礼者たちへ(原題:This Is The Thanks I Get?!)」のソロ歌唱シーンだ。
「何もかもが完璧。情熱的、だけど冷静、そして誰よりも慈悲深い!」と自画自賛する様も強烈だが、ここで彼は貧しい国民の人形の家に火をつけて、その家が倒壊すると「住む場所もなく困っているなら、私の城においで! もちろん、タダでいい」と言うのだ。
貧困となる理由をわざと作ったあげく、その困窮した状況に付け入ろうとする様は、ずる賢いという言葉でも足りない。
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