◆「私のお金、盗っただろ!」と言われたら…
『マンガ ぼけ日和』は、認知症専門医である長谷川嘉哉先生が、2021年に出版した書籍『ボケ日和―わが家に認知症がやって来た!どうする?どうなる?』(かんき出版)を基としています。こちらも、専門書とは一線を画した、患者と家族、いまを生きる私たちに寄り添う本として、支持され続けている一冊です。
『マンガ ぼけ日和』は、同書のカバーイラストを務めた矢部さんのコミックによるさらに親しみやすい語りで、認知症への心の持ちようを変えてくれます。柔らかなモノクロの世界観から生まれる、温度まで伝わってくるようなイラストもステキです。
たとえば、「私のお金盗っただろ!問題」について。認知症といえば出てくる、周囲の人に「自分のお金を盗っただろう、通帳(印鑑)を隠しただろう」と騒ぎまくる、アノ問題です。
本編でも、“モノ盗られ妄想”という認知症症状のひとつとして冒頭から登場するのですが、実はこの妄想、「患者のお世話を一番している人」「もっとも頼りにしている人」に対して現れる症状なのだそう!
かつてお義母さんに激しくなじられたという女性。憎まれていると思っていたのに、自分の介護はちゃんと伝わっていたのだと知ります。そして、こうした知識を「あの当時、知っていたなら」と感想を漏らすのです。その大切な知識を、私たちは、いま留めました。
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