◆数多いる動物の中から、なぜ猿?
「すべて布製のぬいぐるみというのは型紙を起こすのも難しく、高い技術が必要とされます。しかし弊社はセルロイド・ソフトビニール製の人形をずっとやっていた会社なので、その得意な技術を活かしてみてはどうかという案が浮上したのです。ソフトビニール製なら顔の細かな表情も印刷で再現できます。その上で、ぬいぐるみのくたくたっとした感じを出すために身体部分は布製にしました」
何種類かの動物のぬいぐるみがあった「くたくたシリーズ」の中でも特に人気があったのが、猿の「くたくたモンキー」だった。
さらに人気を高めるべく、この「くたくたモンキー」に同じくセキグチで製造していたおしゃぶりをする人形「マドモアゼルジェジェ」の要素を加えて誕生したのが「モンチッチ」だった。
「当時の1970年代は働く女性が増えてきた頃。子どもが保育園や託児所でお母さんに会いたくて指をしゃぶっている姿が多く見られたそうです。そうしたその世の中の動きを反映させたこともあり、モンチッチは大ヒット商品となりました」
発売当初、定番サイズのモンチッチの価格は1,000円。当時の大卒初任給が78,700円だったことを考えると、現在の物価では3,000円くらいの価格になるが、それでも売り場にモンチッチが入荷した瞬間すべてなくなるほどの争奪戦だったという。
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