「彼には後で事情を話して『残念だけど明日は泳げないねー』くらいで終わったんですけど、問題はその後。夕食は大きな広間で、宿泊客がみんな集まって食べるスタイルだったんですが、近くの席に親子連れがやってきました」
その親子連れは若めのご夫婦と、小学生くらいの男の子とさらに年下の妹らしき女の子。男の子はその時こんな話をしていました。
「今日、昼に岩場で血まみれの女を見た。あれはきっと、幽霊だから今夜部屋に来るかもしれない……」
その血まみれの女とは自分のことだと、Y子さんは直感で思いました。男の子は妹が怖がる様が面白いらしく、何度も何度も『血まみれの女がさらいにくるぞ~』と言って妹を泣かし、お父さんに激怒されていたそうです。
「気まずかったのと同時に、私が怪談の一つになっていたことが妙に面白くて、彼氏と笑いを押し殺しながら食事をしました。今や懐かしい思い出です」
◆大の虫嫌い女性、フナムシの大群に囲まれる
さて、夏の海の話をもう一つ。T美さん(28歳)は、普段から虫が大の苦手で山登りやキャンプなどもってのほか。しかし海ならばそんなに虫は居なかろうということで、数年前にアウトドア好きの友人たちと海水浴に出かけたそうです。
「みんな普段から自然に親しんでる子たちで『虫が出たらやっつけてあげるよ!』なんて頼もしいことを言ってくれてました。でも、結局それが仇になりました」
真夏の砂浜は人で溢れかえっていたため、あまり人気のない岩場の方にシートをどうにか広げて陣取ったT美さん一行。海でひとしきり遊んだ後、お腹もすいたことだしとお弁当タイムに。しかし海から岩場に上がってT美さんは絶句しました。
「シートの上にはフナムシが大量に上がり込んでいました。よく見たら、岩の裏やあちこちにフナムシの群れが……。私たちはフナムシに包囲されていたんです! お弁当を食べてる間も気が付けば足を登ってきたり、背中にいたりして、その度に絶叫してました」