■65歳、モチベーションを継続するためには
──今回の撮影で苦労したこと……というか、河崎監督って、苦労ってします?
河崎実 しないです。ハハハハ。
──しないんでしょうね。
河崎実 苦労っていうのは、時間通り撮れるかってことだからね。俺の場合はほぼ絶対予定通りにいくんで。こっちはプロだからさ、職人なんだよね。40分を3日で撮る。現場は運動会ですよ。
──〆切が迫って、アイディアが浮かばなくて苦しい、みたいなことは?
河崎実 ないですよ。〆切なんか守るもん。アイディアが枯れる恐怖もない。なんかさ、降りてくるっていうじゃない、ブラウニーの小人が勝手にやってくれるっていうの、少しわかるんだよね。それに今はクラウドファンディングがメインだから、それで決まっちゃったら作るしかないんだもん。それがモチベーションだよね。
──好きなことを長く続けるために必要なことって、なんでしょう。
河崎実 常に楽しいことしか考えてないからね。普通はできないと思うんだけど、やっぱり成功体験ってあるじゃない。『日本以外全部沈没』(2006)が当たったり、ほかの映画でも海外の映画祭に呼ばれたりとかさ。だってヴェネツィアでさ、(北野)武さんが昼間にやって、夜は同じ会場で俺が喝采を受けてるんだから。笑うしかないよ。そういうことを体験しちゃってるから、またあるんじゃないかと思う。だからまだ、その過程ですよ。
──今後も楽しいことだけ続けていく。
河崎実 そう。だって、次の映画は松島トモ子だから。
──え? ライオンの?
河崎実 『サメ遊戯』ってタイトルで。
──どういうことですか?
河崎実 ブルース・リーで『死亡遊戯』(1978)ってあったでしょ。今回は松島トモ子がサメと戦うんだよ。ハハハハ。松島トモ子ってライオンとヒョウに食われたじゃない。でも生きて帰ってきて、今度はサメと戦うっていう。狂ってるよね。松島トモ子、78歳だよ。ワハハハハハ!
(取材・構成・撮影=新越谷ノリヲ)