口唇 リップ 口元
そして、その「唾液の力」を担う主体が、免疫物質「IgA(免疫グロブリンA)」という物質なのだそう。

「IgAは口や目、鼻、腸管などの粘膜に存在し、細菌やウイルスなどの病原体から体を守ってくれています。とくに口は食事など外から異物が最初に入ってくる場所であり、ここで病原体の侵入を防ぐことがとても大事なのです」

IgA抗体(免疫グロブリンA)の働き
たとえるなら、IgAは頼りになる屈強な「門番」。侵入した細菌やウイルスなどの外敵を見つけると、IgAはベタっとくっついて捕まえ、唾液で洗い流しているのだそうです。

実際、IgAが減ると風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなる可能性が指摘されています。プロスポーツ選手を対象にした研究(※1)では、風邪をひくと健康時に比べてIgAが明らかに低下し、その減少は風邪の症状がでる3週間前からはじまっていたとか。

感染度合いの違い
※上記画像は、血清IgAを用いてIgAの働きを可視化したもの

今夏は手足口病や溶連菌感染症、新型コロナウイルス感染症などが流行しましたが、秋が訪れ、冬に向かって、インフルエンザなどが流行する感染症のハイシーズンに突入します。今からIgAを十分に含んだ「質のいい唾液」をつくれる体になることが必要なのです。

◆質のいい唾液をしっかり出すために

では、「質のいい唾液をしっかり出す」ためにはどうしたらいいのでしょうか? 照山先生に、唾液を増やすケア、IgAがしっかりと含まれる「質のいい唾液」を作る方法を教えていただきました。

●よく噛む

「よく噛むことで唾液の分泌が増えます。一口30回を目標にするといいですよ」と照山先生。でも、一口30回ってけっこう大変……。

「噛む回数が自然と増えるよう調理を工夫してみてください。例えばサラダにカリカリのゴボウチップスを混ぜたり、麺類にネギやミョウがなどの薬味を加えたり、食感の異なる食材を組み合わせるだけでも噛み応えが出て、自然とよく噛むようになりますよ」