◆節約料理を喜ぶ彼
感覚の違いを感じながらも、彼が「お腹がすいてきたね」というので、美和さんは何も用意していないしどうしようと思いながらも、冷凍庫をごそごそ。スーパーで値引きしているときに買い置き冷凍しておいた食パンを解凍し、ハムやチーズでピザトーストを作って出してあげた。
同じくスーパーのプライベートブランドでかなりお得なコーンポタージュを出してあげた。すると、美和さんの作る作業をめずらしそうに見て、できあがったものを食べて、目をまるくしたそうだ。
「“むちゃくちゃおいしいじゃん!”って(笑)へーこんなものが?そうなんだ!……と思って、私はホッとして胸をなでおろしました。そしてそのあと、彼の家の裕福なご飯事情を聞いたのです。
彼のおうちは代々、親族はみんな、ある財閥系の企業に勤めているという話でした。おじいちゃんもお父さんも、お母さんも系列会社。お母さんはご飯を作らなくて、お茶やお花などの習い事、お父さんの仕事関係のパーティーの切り盛りなどに忙しい。夕飯はいつもお手伝いさんが作ってくれるんだと話していました。
ただ、小さい頃は家族そろって夕食を食べていたらしいですが、中学や高校に入ると、帰宅が少し遅くなったりするでしょう?なのでご飯はもうバラバラ。もう何年も家族とご飯を食べることはなくて、お手伝いさんが用意してくれたご飯を深夜帰宅してからひとりで食べることが多かったそうです。チンして食べてねと書いてあっても、面倒でそのまま食べていたんですって。
だから、いつもご飯は冷たくて、あったかいものは久しぶりだなって話していました。なんか私には、異国の世界のお話。でもなんだか彼が私の節約料理を喜んでくれてうれしかったです。それからつきあいはじめて半年くらいは仲良かったし、楽しかった。サークルの仲間も、お金持ちで上品な人たちが多かったんですがみんな本当に性格がよっくて、とても仲良くしてくれたんです」