◆彼の家庭が壊れろと念じるような毎日
そう話すと、言葉をつまらせてしまったのは、通販会社社員の美和子さん(仮名)、33歳。某私立大学の文学部国文学科を卒業後に今の会社に就職した。営業管理などのデスクワークのほか、もともと好きだったデザインスキルを活かして、通販サイトのデザイン業務も行なう。
ちいさな会社ということもあり、若い世代が活躍しやすくて居心地のいい会社。会社の男女比率は半々。みんな仲はいいのだが、恋愛に発展する相手はいない。同じ会社にずっと働いているのでみんな気心の知れたいい仲間という感じ。信頼する男性ばかりだが仕事仲間であり友達のような関係の相手ばかりなのだという。
「実家の両親から、そろそろ結婚相手探したらと言われますが、私には優斗がいますから。彼はもう奥さんも子供もいるんですが、彼の家庭が壊れろ壊れろと念じるような毎日です。
……私ね、高校時代も中学時代もそれなりに好きな人はいましたし、うまくいかなくなって時間がたてば、また好きな人ができたんですよね。だけど、優斗だけは違う……たぶん、いろんな理由がからまっているんです。本当に好きだったこと、彼とは家柄が違うからとひきさかれたこと、優斗がマザコンで私を簡単に捨てたこと……いろいろ重なる中で、倒錯(とうさく)してしまったんだと思います」