◆実写化王子のプライド

『オオカミ少女と黒王子』
『オオカミ少女と黒王子』DVD(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)
『オオカミ少女と黒王子』を頂点として、次第にきらきら映画ブームは下火となり、10億円を超える(まさにきらきらな)興行成績も徐々に振るわなくなった。山﨑の名演を振り返っても、同作のドS王子役を更新する名演は生むのは難しいというのが、筆者の見立てである。

 実写化ラッシュの残り香が、まだわずかに感じられた2010年代後半もまるで自らに課せられた責務のように山﨑は、漫画内の2次元キャラクターを次々と3次元にアダプテーションし続けた。

 彼の継続的な姿勢がどれほどたくましかったことか。荒木飛呂彦の国民的漫画作品を実写化した『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017年)でも彼は、実写化王子としてのプライドをなんとか保っていた。