◆峰子は友情というものを見下している?

 峰子の「自分だけの栄養で赤田を育成したい」という願望には、“恋人は友達、少なくとも女友達の上位互換”という意識が背景にあるのかもしれない。言ってしまえば、友達という関係性を下に見ていることが影響している。だからこそ、婚約者の自分ではなく、格下である友達に満たされることが我慢ならないのではないか。

 本作では友情が恋愛よりも雑に扱われている瞬間がちょくちょく映し出され、その度に登場人物がそのことに対する不満を口にしている。峰子の言動は間接的ではあるが、友情を雑に扱っているからこそのものなのだろう。友情という関係性を見下さず、雑に扱うことを止めた時、峰子は何とも言えない敗北感から解放されるのかもしれない。

<文/望月悠木>

【望月悠木】

フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki