◆慣れない田舎に、最初はふさぎ込んだ
しかし、改めて自分が住むとなると状況は一変します。集落の隣りの民家までは数百メートル離れていて、夜は街頭もほとんどなく真っ暗闇状態。最寄のコンビニまでは徒歩で小一時間かかり、田んぼのカエルの大合唱がうるさく、寝つけないほどだったといいます。
「なんか軟禁されているような感覚ですよね(笑)。最寄駅までも車で30分以上かかるし、電車も一時間に1~2本あればいい方。しかも車両がめちゃくちゃ短くてプラモデルみたい。土地が余ってるからか、家の敷地は学校のグラウンドより広いんですが、土間や囲炉裏が現役でまだある古民家で、タイムスリップしたみたいでした」
生活環境が一変し、とてつもないホームシックに陥ったという静香さん。家族は小姑一家や曾祖母なども入れて総勢12名。食事や家事だけでも相当な労働作業です。
「それに、ネットの匿名掲示板なんかで調べても、『農家に嫁いだら奴隷扱い』『とにかく働かされてコキ使われる』『嫁いびりが半端ない』なんてコワい話ばかり出てくるんですよ……。もう私の人生どうなっちゃうんだろうと、最初はずっとふさぎ込んでいました」