どう考えても無理じゃん、という状況を提示しておいて、見ている側が納得できる、かつ「なんかすごいことやりそう」な感じを出しつつ、「これって天才ならではのアイディアだよな」感も醸し出している。

「確かにそりゃできればすごいけど、そんなの無理だろ、いや彼らなら……!」という、その感じ。

 この一連の救出劇は、原作にはありません。完全にドラマのオリジナルです。このドラマを作っている人たちは、明らかに「救出劇っておもしろいよな」と思っていて、語るべきメッセージや防災についての啓蒙意識とは別のところで、「おもしろドラマ」を作ろうとしている。そういうことが感じられて、ステキだなと思ったわけです。

 吹き荒れる台風と、目の中に入って空が晴れ渡った瞬間のコントラスト。わずか27分という救助可能時間とのせめぎ合い。そういう見どころとなりそうなシーンを存分に描き切ったとは思わなかったけれど、「台風の目の中をヘリで飛ぶ」というアイディアだけで満足だったね。いやぁ、いいと思う。