―連載「沼の話を聞いてみた」―
「母の場合は、宗教からはじまったんですよね」――橋本佳子さん(仮名/40代)は、実母のことをこう振り返る。
母ががんと診断されたと聞きつけてすぐ、橋本家に姿をあらわしたのが母の従妹だった。当時佳子さんは、12歳。33年前の話である。
「信仰しないから、がんになったのよ!」「いつかこんなことになるって、ずっと思っていた」
大柄で、どこか得体の知れなさがある母の従妹(いとこ)が言い放つその姿は、「ドーン」と対象者にショックを与える喪黒福造(By笑ウせぇるすまん)のようだったという。