斎藤知事のいい分は、小林氏によれば「もとの計画は約700億円の事業費だった。現在の物価高騰を試算すると1000億円を超える。新庁舎建設は県民の理解が得られない」というものだったという。

 県議会は強く反発したが、斎藤知事は聞く耳を持たなかったそうだ。

 そこで斎藤知事が新たに打ち出したのが、1、2号館の撤去・解体に伴い、県職員たちの「4割出勤」だったという。

「1、2号館の撤去・解体で行き場を失う職員約2500人について、職員の出勤を週2日として、残りの3日を在宅勤務とすれば、職員の出勤率が4割程度となり、約1000人の出勤におさめることができる。
『4割出勤』の職員約1000人は3号館や生田庁舎などの既存施設に分散して働けばいいというのである。
コロナ禍の働き方改革で、在宅勤務やテレワークがふつうとなり、『4割出勤』であっても県庁の行政事務を十分にまかなえるというのが斎藤知事の考えだった」(小林氏)

 だが、この施策は職員たちに評判が悪く、約7割が在宅勤務のテレワークで業務効率が低下したと不満を漏らしたらしい。だが斎藤知事は4割出勤を推進する姿勢を変えなかったというのだ。

 このあたりから、県職員、県議会とのズレが始まっていたのかもしれない。だが、コロナ禍で在宅勤務は増えたし、育児などをする共働きの夫婦にとってはありがたい働き方になっている。都会と地方の違いはあるだろうが、斎藤県政の根幹を揺るがすような「悪政」ではないと、私は思うのだが。

 斎藤知事は、自分の給与・退職金についても“改革”している。新潮によれば、年収は、「本来だったら約2471万円でしたが、約1775万円に減額」(県庁関係者)しているのだ。

 また退職金についても、「本来なら来年7月の任期満了まで務めた際の満額は約4052万円だった。だが、維新に擁立された齋藤知事は就任後、自らに“身を切る改革”を課して、これを約2026万円に減額した」(新潮)というのである。